三洋電機「井植家支配」の食いだおれ寸前

執筆者:五味康平2006年1月号

「浪速のGE」とも呼ばれた拡大路線が、ついに一気に崩れ出した。大胆な事業再編が必要だが、このままでは不可能。なぜか? 中東を旅行して意外に感じるのは、日本のエレクトロニクスメーカーの市場への浸透度が、日本国内とは違った様子であることだ。ソニーは依然として傑出した知名度とブランドイメージを保っているが、二番手に来るのは、三洋電機か「パナソニック(松下)」だろう。ペルシャ湾岸の商都、UAEドバイの町中で目に付くのは、赤い文字が浮かび上がった「SANYO」の看板である。 日本では、二流家電メーカーのイメージがある三洋も、いったん海外市場、とりわけ途上国市場に出れば別の印象がある。製品の質、価格では十分な競争力を持ちながら、エレクトロニクスの強豪が林立する日本はじめ先進国市場では二流メーカーの地位を脱せないのが三洋なのだ。 その三洋の経営が重大な場面を迎えている。十一月十八日に発表した二〇〇六年三月期の連結最終赤字は過去最悪の二千三百三十億円に達する。連結業績見通しの下方修正は九月に続いて二回目で、今回は九百三十億円も赤字幅が広がった。業績は坂道を転がるように悪化し、「経営破綻」の文字がちらつき始めている。

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