一月のパレスチナ、三月のイスラエル、それぞれの選挙結果次第では、和平は大きく遠のく。「シャロンなき中東情勢」はいかなる様相を呈するのか。 イスラエルの“政界ビッグバン”の仕掛け人シャロン首相が倒れた。容態から見て政治の舞台に復帰する可能性はほとんどなく、「シャロン後」が本格的に動き始めた。 最大の焦点はシャロン新党「カディマ(前進)」の行方を中心に三月末のイスラエル総選挙がどのようになり、それが中東和平プロセスにどんな影響を与えるかだ。一月二十五日に予定されているパレスチナの国会に当たる立法評議会選挙の結果も、ハマスの動向を含め状況を大きく左右する。イスラエル、パレスチナ、さらに中東和平問題の今後を考えるためにはどのような視点が必要だろうか。「シャロン首相重篤」のニュースを受け、多くの報道は「カディマは瓦解か」「労働党とリクードの二党対立に逆戻りか」といった論評を伝えた。確かにこのところ、イスラエルの政策のほとんどはシャロン首相が一人で取り仕切っているとの感が強かった。だが実際のところ、昨年八月のガザ撤退からカディマの結成、国会解散・総選挙へという一連の動きは、すべて同首相一人のイニシアティブだったのだろうか。

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