孫泰蔵が「賢弟」と呼ばれる条件とは

執筆者:杜耕次2006年2月号

急成長を続けるオンラインゲーム業界で存在感を増す「孫正義の弟」。狙うは“ネット上のディズニーランド”だというが――。 日本経済の現況は“バブル”か否か――。論争は昨年来喧しいが、少なくともその論点を提供する「話題の企業」がある。 ガンホー・オンライン・エンターテイメント。昨年三月九日に大阪証券取引所ヘラクレスに上場したオンラインゲーム大手である。公募価格百二十万円に対して、上場翌日に付いた初値が三・五倍の四百二十万円。これだけでも「人気沸騰」と騒がれる水準だったが、ここから連日のストップ高となり、一カ月余り後の四月十二日にはなんと二千三百十万円の超高値に跳ね上がった。 高騰の理由として上場時の公開株式数が発行済み株式数の六・一%と少なかったことが指摘されている。「品薄感に煽られた」と市場関係者は言い、ライバルのオンラインゲーム会社幹部は「一カ月で公募価格の十九倍というガンホーの株価は間違いなくバブル」と強調した。 現在の株価は二百九十二万円(一月十六日終値)。昨年八月に株式を五分割しており、それを勘案した価格(千四百六十万円)でみると、公募価格に対する倍率は十二倍と依然高水準にある。だからこそ「ガンホーは本物なのか」「ネットバブル再来か」と投資家の興味を惹きつけるのだが、それとは別に同社が注目を集めるもう一つの理由がある。ガンホーを率いるのは孫正義ソフトバンク社長(四八)の実弟、泰蔵(三三)なのである。

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