メガバンクと郵便局が手を握るとき

執筆者:鷲尾香一2006年2月号

攻めに転じるメガバンクは個人向け金融という沃野を狙う。新しい銀行代理店制度のスタートを期して提携をもくろむ相手は――。 今年四月、日本の金融界で個人向け金融(リテール)の覇権をめぐる戦いの幕が切って落とされる。 すべての金融機関が新たな儲け口を獲得するための策を練る中で、とりわけ三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ、三井住友フィナンシャルグループには、その争いに参入する十分な理由がある。これらのメガバンクは巨額の不良債権処理を終えており、二〇〇六年度中には公的資金も完済する予定だ。そうなれば、運用する資金量の豊富さというスケールメリットを活かし一行当たり年間六千億円以上と見込まれる巨額の利益を自由に使えることになる。この利益をどう活用していくかが、経営上の大きな課題になっている。 みずほフィナンシャルグループの前田晃伸社長は、今後の投資について、「基本的には、リテール分野に重点配分する。今後は、日銀による量的緩和政策が終焉を迎え、ゼロ金利が解除されると思われる。そうすると、預金金利が上がり始めるなど、リテールは通常の姿に戻る。そこで、しっかりとした収益基盤を確立することが重要だ」と強調している。

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