中国ブームに草木もなびくアメリカでは、公立学校で中国語の授業が拡大。それを中国政府が積極的に後押しし……。 アメリカ人にとって“魅力あるアジアの国”は、もはや日本ではなく中国になってしまったのか。 米国内には中国製品があふれ、新聞やテレビの中国報道が圧倒的に増えている。とくに象徴的なのがモーニングショーで、看板キャスターが中国へ飛び、中国人デザイナーに取材して最新のファッション事情を伝えたかと思えば、二十秒で十四回も顔を変えるという京劇の主役にその秘訣を尋ね、はたまた中華料理の作り方を紹介したりしている。このようなたわいもない「中国レポート」を、アメリカ人は興奮して見ているのだ。 中国への関心と比例して、中国語の学習熱も高まっている。そして中国政府はそれを戦略的に後押ししようとしている。米国での取材成果をもとにレポートしたい。「近く日本語を追い抜く」 中国で積極的なビジネスを展開するモトローラやマクドナルドなどの本社があるイリノイ州シカゴ。ここには六百三の公立学校があるが、そのうち二十校で中国語の授業を行なっている。地元の学校区(地域の学校を管理する機関)が導入を決めた一九九九年には三校にすぎなかったが、その後中国の経済発展などで生徒や親の関心が高まり、数を増やしたという。生徒は四十分の中国語クラスを週四回受講し、基本的に小学校から高校まで中国語を学ぶ。

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