プミポン国王の真意は……(C)AFP=時事
プミポン国王の真意は……(C)AFP=時事

 バンコクを頂点にシャム湾に正三角形を描くとするなら、ヴェトナム戦争当時にアメリカ兵が休息するために開発され、現在は国際リゾートとして知られるパタヤは底辺の右の頂点に当たる。左の頂点、つまりシャム湾を挟んでパタヤ対岸に位置するのがホワヒンだ。王室の離宮があるだけに、パタヤほどには風俗化せず、落ち着きのあるリゾートである。郊外に在って、タイ最古の歴史を誇る『ザ・ロイヤル・ホアヒン・ゴルフコース』は、日本の名門コースとして著名な『川奈ホテルゴルフコース 』(静岡県)のコース設計のモデルとなったといわれるだけあって、変化に富みながらも優雅な雰囲気を感じさせる。

 1932年6月のある日、このゴルフ場でラーマ7世 プラチャーティポック王はゴルフを楽しんでいた。そこに侍従の1人が大慌ての態で駆けつけ、バンコクで「パティワット(タイ語で革命を意味するが、一般的にはクーデター)」が発生したことを告げる。すると国王は「して、パティワットとは?」と問うたまま、ゴルフを続行したとか。この時の「パティワット」によって、タイ王国は現在の「国王を元首とする民主主義政体」(憲法第2条)につながる立憲君主制の国家に移行した。1932年の立憲革命のひとコマである。

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