フランスの契約制有料テレビ最大手のカナルプリュスが一月九日、ライバルのTPSとの経営統合を決めた。カナルプリュスの親会社であるビベンディが新会社の八五%、TPSの親会社二社が残りの株式を持ち、ビベンディの傘下に入る。独禁当局の承認を得れば、時価総額七十億ユーロ(約九千億円)を超す国内最大の有料テレビ会社が誕生する。 カナルプリュスは加入者が仏国内で八百四十万、TPSは百四十万おり、ライバル関係にあった。二〇〇五年、仏のサッカー放映権入札でも争い、カナルプリュスが年六億ユーロで落札し、TPSに勝ったばかり。ともに利益を出しており、本来なら競争が続くはずだった。 その両社が統合に踏み切った背景には、フランステレコムなど通信会社が始めたブロードバンド(高速大容量)回線を使った「トリプル(三重)プレー」事業への危機感がある。 トリプルプレーとは、ブロードバンドで電話、動画(テレビ、ビデオ)、そしてインターネットを一括して利用者に提供するサービス。通信、放送、ネット接続業社がそれぞれ個別にやっていたサービスは、ブロードバンドによって束ねられ、通信大手の新たな事業領域となっている。米調査会社によると、まだ仏での普及率は一〇%に満たないが、今後は顧客囲い込みの争いの激しい分野になるとみられている。

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