親西欧派デモ隊が大統領府など国家中枢を占拠したウクライナ情勢は、二重権力状態となり、内戦の危機に直面しかねない。今後、事態が収拾不能になった場合、ウクライナが親西欧の西部と親ロシアの東部に分裂する可能性も浮上するかもしれない。欧米では、冷戦後のチェコスロバキア型の協議離婚の論議も出始めた。一方で、ロシアは固有の領土であるウクライナ領クリミア半島を奪還する動きもちらつかせている。欧州は旧ユーゴスラビア紛争に続く重大な試練に見舞われつつある。

 

ビロード離婚?

 ロシア史専門家のオーランド・フィゲス・ロンドン大学教授はフォーリン・アフェアーズ誌電子版(2013年12月16日号)で、「ウクライナの分裂の根深さやロシアとEU(欧州連合)の意思が相容れないことを考えた場合、ウクライナは東欧で行われた先例を適用することを考えてはどうか。1993年のチェコスロバキアの分裂は、いわゆるビロード離婚と言われ、市民の判断が合法化された比較的明るい分裂だった」と述べ、国家分離の是非を問う国民投票を通じた決着を訴えた。教授は、「国民投票方式は面倒なプロセスだが、ウクライナの永遠の分断には好ましく、実際に分裂の可能性が一段と増している」と指摘した。

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