核問題の国連安保理付託が決まっても強硬姿勢は変わらない。だが、その“暴言”は受け売りで、水面下の権力闘争も……。[テヘラン発]「好きなだけ決議を出すがいい。だが、イランの進歩は止められない。敵(=米欧)は何もできない。我々が彼らを必要とする以上に、彼らはイランを必要としているのだ」 ウィーンの国際原子力機関(IAEA)緊急理事会がイラン核問題の国連安全保障理事会への付託を決議した翌日の二月五日、アフマディネジャード大統領はそう言い放った。さらに十一日、二十七回目の革命記念日では、「核への圧力が強まるなら、核拡散防止条約(NPT)からの脱退もありうる」とまで言った。 大統領はイスラム革命体制護持を使命とする革命防衛隊出身で、“ウルトラ保守”の姿勢は自明だったが、昨年十月の「イスラエルは消されるべきだ」の過激発言で米欧首脳を中心に世界中から非難を浴びているなかでの安保理付託決議だけに、大統領の強硬姿勢も、イラン国内では当然のように受け止められている。 アフマディネジャード氏に対する支持は依然、同氏に投票した庶民の間では根強い。IAEAの決議後、国営イラン通信は、「国民の八五%がウラン濃縮を支持している」との世論調査結果を流した。テヘランの町でもごく普通の人々は「核の平和利用に、なぜ欧米が反対するのか」と、政権支持の声が大勢だ。

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