軍事介入はロシアにとって「得」か「損」か

執筆者:国末憲人2014年3月4日
 クリミア半島のセバストポリではすでにロシア軍がウクライナ海軍の施設を封鎖している (C)EPA=時事
クリミア半島のセバストポリではすでにロシア軍がウクライナ海軍の施設を封鎖している (C)EPA=時事

 ウクライナ情勢が急変を続けている。ロシアの大規模な軍事介入は起きるのか。しばらく膠着状態が続くのか。判断は難しいが、現地3月3日未明までの状況を見る限り、ロシアは介入の準備を整えつつ脅しと挑発を続け、ウクライナ新政権と欧米諸国の出方を見ている段階だ。あわよくば、侵攻なくしてクリミア半島を支配下に置くことも視野に入れているように見える。

 ウクライナで親欧米政権を生むきっかけとなった2004年の「オレンジ革命」を教訓とするプーチン政権は、今回強硬手段に訴える可能性が強い。一方で事態を軟着陸に持ち込む道も、まだ残っていると見る。ウクライナ側が挑発に乗らず、賢明にも国家の統一を保つことができれば、の話であるが。

 事態打開の鍵は、意外にウクライナ側が握っているのかも知れない。

 

軍事介入によって得られるもの

 3月1日、ロシアのプーチン大統領は上院から軍事行動の承認を取り付け、緊張が一気に高まった。翌2日、クリミア半島でのロシア軍の増強は続き、ウクライナの軍施設を封鎖したとも伝えられる。半島でロシアの実効支配が明らかに進んでいる。

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