3月9日に行われた最高人民会議代議員選挙。投票所の様子 (C)AFP=時事
3月9日に行われた最高人民会議代議員選挙。投票所の様子 (C)AFP=時事

 北朝鮮の国会に当たる最高人民会議の第13期代議員(国会議員)を選出する選挙が3月9日に行われた。国会議員といっても、最高人民会議が開催されるのは年に1、2回程度であり、最高人民会議代議員という職責がどれほどの権限を持っているのか疑問ではある。しかし、北朝鮮の権力中枢に入っていく最初の関門が「最高人民会議代議員」で、いわば権力への「登竜門」だ。まず最高人民会議代議員になり、それから党中央委員になり、党政治局へ入っていくというのが権力の通常のコースだ。その意味で、最高人民会議の代議員から外れるということは、その時点での権力中枢から外れる場合が多い。最高人民会議代議員選挙はそういうバロメーターとしての意味を持つ。もちろん、代議員に選出されない「隠れた実力者」がいないわけではないが、それは例外ということだ。

 北朝鮮は朝鮮労働党の実質的な一党独裁の国であるため、選挙といっても西側と大きく異なり、複数候補の立候補はなく、立候補者の信任を問う選挙である。今回の選挙は有権者の99.97%が投票し、代議員候補への賛成が100%であった。海外にいる有権者を除き、全員が賛成投票をしたということである。北朝鮮の最高人民会議代議員選挙は投票にではなく、誰が代議員候補になるかに意味がある。

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