焦点は、次期経団連会長が内定している榊原・東レ会長の判断 (C)時事
焦点は、次期経団連会長が内定している榊原・東レ会長の判断 (C)時事

 社外取締役の導入に強く抵抗してきた企業が、相次いで“陥落”している。キヤノンが3月28日に開く株主総会に社外取締役2人の選任議案を提出すると発表したほか、新日鉄住金も6月の株主総会で2人の社外取締役を選ぶ方針を3月4日に発表した。今国会に提出されている会社法改正案では、経団連などの反対で「社外取締役1人以上の義務付け」を求める規定が見送られた経緯がある。経団連の前会長だった御手洗冨士夫氏が会長兼社長を務めるキヤノンと、今の経団連正副会長会社18社で唯一社外取締役がいなかった新日鉄住金という“反対派の両巨頭”が導入に踏み切ったことで、日本企業の間でも社外取締役導入が一気に加速しそうだ。

 

苦しい弁明

 キヤノンは株主総会で、元大阪高等検察庁検事長で弁護士の齊田國太郎氏と、元国税庁長官で証券保管振替機構社長の加藤治彦氏を選ぶ。新日鉄住金は、元JR東日本社長の大塚陸毅氏と、前駐米大使の藤崎一郎氏を社外取締役に選ぶ方針だ。両社とも社外取締役の導入は初めて。

 国会に出されている会社法改正案では、義務付けは見送られたものの、社外取締役の導入を促すための規定が盛り込まれた。具体的には、「社外取締役を置くことが相当でない理由」を株主総会で説明することが求められることになるのだ。「置くことが相当でない」とは、置けない事情ではなく、「置かない方がよい」理由という意味だ。当初、法務省は、終了した決算期について、社外取締役を置かなかった理由を事業報告書に書かせることを検討していたが、自民党との調整の結果、株主総会での説明事項となった。総会にかける取締役候補者リストに社外取締役がいない場合、議長である社長自身が説明せざるを得なくなったのだ。

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