孤立を深めるミャンマーに対しASEAN各国の働きかけが活発化している。中でもインドネシアは積極的に――。[ジャカルタ発]民主化運動指導者のアウン・サン・スー・チー氏の軟禁を続けるなど、欧米先進諸国からの民主化圧力に馬耳東風の体のミャンマー軍事政権に対し、「東南アジア諸国連合(ASEAN)の盟主」とされてきたインドネシアとマレーシアが事態打開の処方箋を示すべく動きを活発化させている。中でも、積極的なのが、スハルト第二代大統領の長期支配体制を脱し、いまや東南アジアの「民主化の旗手」を自任するインドネシア。その対ミャンマー政策は、「民主と人権」を旗印にASEANが二〇二〇年までの構築を目指す「共同体」実現の可否を占う試金石と見なされつつある。 ミャンマー問題を巡る最近のインドネシアの動向で注目を集めているのは、この二月末をめどに調整中の、ユドヨノ大統領のミャンマー初訪問計画だ。 ASEANは、昨年十二月にクアラルンプールで開いた首脳会議で、ミャンマー国内の実情を把握するため、議長国マレーシアがミャンマーにASEAN特使を派遣することを決めた。しかし、「一月にも実現を」と意気込んでいたマレーシアに対し、軍事政権は「首都をヤンゴンから(約三百八十キロ北方の)ピンマナに移している最中で忙しい」として当面の受け入れを拒否。こうした中でユドヨノ大統領の訪問が実現すれば、年々“引き篭もり傾向”を強めるタン・シュエ軍事政権との対話の機会を何とか維持できる。

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