金正日訪中の狙いは「第二経済」の変革

執筆者:草壁五郎2006年3月号

訪中の目的は軍幹部たちへの「教育」だったとみられる。同じ時期に行なわれたある幹部の復権も、その延長線上に――。[ソウル発]「最も革命的なわが思想と最新科学技術が結合すれば、革命と建設で偉大なる変革を達成するだろう」 中国から帰国した金正日総書記は、二月四日に慈江道江界市の企業など四カ所を“現地指導”する中で、朝鮮中央銀行の慈江道支店を訪問した際、こう強調した。金総書記が「銀行」を訪問し、科学技術の重要性を強調しながら「変革」を訴えたことは注目に値する。 また、北朝鮮の内閣機関紙『民主朝鮮』は、一月二十六日付の論説で「経済管理のシステムと方法は固定不変のものではない」とし、新たな環境と条件に合わせて「経済管理を革命的に改善すべきだ」と主張した。金総書記訪中後の北朝鮮の変化が次第に表面に出始めている。“改革”は後戻りできないので 金総書記は胡錦濤中国共産党総書記の招きで、一月十日から十八日まで中国を非公式に訪問した。 その視察先は示唆に富んでいる。武漢市では先端技術団地の通信関連企業、宜昌市では三峡ダム、広州、珠海、深センでは先端技術企業や農場視察、北京では農業先端技術視察が目立った。 公式報道では、金総書記の同行者は朴奉珠首相、姜錫柱第一外務次官、朴南基党中央委部長、李光濠党科学教育部長、盧斗哲副首相の五人しか発表されていないが、多数の軍幹部が同行したという。

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