3月26日、ベルギーのブリュッセルで講演するオバマ米大統領 (C)EPA=時事
3月26日、ベルギーのブリュッセルで講演するオバマ米大統領 (C)EPA=時事

  米国のオバマ大統領はオランダ・ハーグやベルギー・ブリュッセルなどを歴訪したその足で、3月28日にサウジアラビアのリヤードを訪問する。サウジ訪問では、この厄介な同盟国との緊張を緩和し、同盟の紐帯を結び直せるかが注目される。

 オバマの前回のサウジ訪問は、2009年6月に遡る。期日は6月3日。あの有名になったエジプトの6月4日のカイロ演説の前日である。サウジ訪問の方はほとんど注目されず、短時間立ち寄っただけだった。今となってはオバマの大統領就任の際の対中東政策への期待も、カイロ演説の熱狂も、遠い昔の出来事に感じられる。訪問を派手に宣伝する必要もなかった、安定したサウジとの関係もまた、隔世の感がある。

 

GCC内紛の激化

 訪問を受けるサウジは現在不穏な状態にある。顕著なのは、前例のない次元での湾岸協力会議(GCC)の分裂である。本来は今回のオバマのサウジ訪問に合わせて、GCC諸国の首脳も集い、米・GCC首脳会議が開かれる予定だった。しかしサウジ対カタールの対立を主軸としたGCCの内紛が激化し、首脳同士が同席できる状況ではない。その結果、サウジのアブドッラー国王のみがオバマと会談を行うことになった。

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