ロシアとグルジアの関係が一段と悪化し、プーチン政権は、グルジアからの分離・独立を目指している南オセチア自治州の併合を狙っている。 人口十万人の同自治州は、ロシア連邦内の北オセチア自治共和国と国境を接し、南北の合併によるロシアへの編入を望む住民が多い。ソ連解体後、ロシアが支援する南オセチア自治州軍とグルジア国軍は内戦を展開。一九九二年の停戦協定でロシア軍が平和維持部隊として南オセチアに駐留している。 だが、今年二月、グルジア議会は親米派のサーカシビリ大統領の意向を受け、南オセチアに平和維持部隊として駐留するロシア軍を多国籍軍に変更するよう求める決議を採択。緊張が一気に激化した。「ロシアはソ連邦解体によって広大な領土を喪失したが、プーチン大統領は南オセチアを併合することで、領土を拡大した大統領としての名誉を獲得したがっている」(ロシア政府筋)。南オセチア州民の大半はロシア国籍を持っている。ロシアが自国民擁護を名目に停戦協定を破棄して一気に併合を狙えば、主権国家への侵略として欧米が猛反発するのは必至。グルジアでは約百人の米軍部隊がグルジア軍の訓練に当たっており、内戦が再燃すれば“米露直接対決”にもつながりかねない。

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