帝国ホテルを三井不動産が狙っている。筆頭株主は故小佐野賢治氏が率いた国際興業だが、その筆頭株主は米投資ファンドのサーベラス。帝国ホテルは事実上サーベラス支配下にある。「いつ未知の大株主が名乗り出るか気が気でない」(帝国ホテル幹部)と、ホテル側は安定株主作りに奔走するが、「所有する土地の含み益を狙った投機筋が買いを入れた」などと憶測が乱れ飛んで株価は急上昇。「もはや簡単に買える額ではなくなった」(大手証券アナリスト)。 そこで浮上してきたのが三井不動産だ。東京駅に近い丸の内一帯の開発は三菱地所グループに独占されている。帝国ホテルのある日比谷は「都心に残った最後の大きな再開発案件」(大手デベロッパー幹部)と言われており、三井不動産としては「日比谷になんとか足場を築き(日比谷にある)三井住友銀行本店や三信ビルなどの再開発と連動させたい」(三井不動産関係者)と執念を燃やしている。 今期も最高益を更新する見込みの三井不動産にとって、株価が高騰する帝国ホテルも決して高すぎるハードルではない。「余裕があるうちに手を打たなければ」(同前)と意気込む三井不動産。事の成否を握るサーベラスの動きが注目される。

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