偽メールで気がめいる

執筆者:2006年4月号

 偽メールを振りかざして国会で月光仮面になろうとした永田某はとんでもないことをしでかしてくれたものだ。その罪の重さは衆議院懲罰委員会での三十日登院停止などという処分なんぞで消えるものではない。議員辞職でさえもその罪のすべてを贖うことはできない。永田某の将来などどうでもいいが、この騒ぎによって二つの重要なチャンスが消えてしまった。ひとつは民主党が政権奪取するかもしれない近い将来の機会であり、もうひとつはライブドアと自民党の間にほんとうに金銭癒着がなかったのかどうかを検証、追及する機会である。 つい最近まで民主党は「野党」という呼称の代わりに「政権準備党」と称していた。昨年九月の総選挙では小泉自民党に大惨敗させられたが、それでもいずれ民主党が政権与党になる、それは時間の問題だと考えているようであった。ひとりひとりの議員の能力を比べれば、民主党が自民党に勝てないはずがない、そう考えている松下政経塾卒業生や、霞が関高級官僚からの鞍替え組が大勢いた。 永田某の功名心によって民主党が政権の座に着く日は予測不能なほど遠のいた。それを残念と思うか、あるいはこのことによって民主党などに政権を委ねたら大変なことになるということを事前に知っただけでも収穫だった、と考えるか。とりわけ前原誠司代表と鳩山由紀夫幹事長の言動からは指導者としての資質の欠落しか感じ取れない。前原代表は小泉首相との党首討論の前日、メール問題で新たな事実が出るのか、と問われ、「楽しみにしていてほしい」とマスコミに豪語した。

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