あらゆる仕事は労賃の低い国へ流出してしまうのか。低コスト・低価格競争に巻きこまれない戦略とは何か。世界中の資源と人材を使ってモノが作られる「メイド・イン・エブリウェア」の時代、企業はどうすれば勝ち残っていけるのか。 世界の市場がひとつになっていくグローバル経済のなか、いったいどんな企業が成功し、どんなビジネス戦略が失敗するのか――それを探るべく、バーガー教授らMITの研究チームは一九九九年から二〇〇四年にかけて日米欧五百社から聞き取り調査を行ない、著書『How We Compete(いかに競争するか)』をまとめた(邦訳は草思社より刊行予定)。 企業の興亡に法則性を見出すことは可能なのか。研究のまとめ役となったバーガー教授に聞いた。長い目で競争力を分析すると――どのような問題意識から始まった研究ですか。バーガー 経営者にとって「選択の余地」は残されているのか。これが私にとって最大のテーマでした。 俗に、グローバル社会では企業は競争に勝ち残るために労賃の低いところへ生産拠点を移さざるを得なくなり、アウトソーシング(外注)も進む、労働者も低い賃金に甘んじざるを得なくなる。また、消費者は多国籍企業が売る同じ品物を買うしかなくなる――そんな風に選択の幅が狭まるといわれます。

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