言うまでもなく、朝鮮半島は地理的に日本から非常に近いが、米国からは遠い。日本人にとって韓国は最も近しい外国であるのに対して、北朝鮮は政治的理由の故に心理的には遠い国である。米国から遠い朝鮮半島の両国は、一方は同盟国であり、他方は敵国である。北朝鮮は新参の核保有国として地域に脅威を振りまき、米国にとって、その閉鎖的な政治体制と相まって「差し迫った脅威」(imminent threat)として認識されている。中国の台頭が長期的な問題として認識されていることとは対照的である。

 シンポジウムに参加したビクター・チャ氏(中央)
シンポジウムに参加したビクター・チャ氏(中央)

 2月24日に、筆者が所属するサザンメソジスト大学タワーセンターで、「米国と朝鮮半島―未来への展望」(U.S., South & North Korea: What the Future Holds)と題するシンポジウムが行われた。その折にスピーカーの1人として、ジョージ・W・ブッシュ政権で朝鮮半島情勢のアドバイザーを務めたジョージタウン大学教授のビクター・チャ氏がダラスを訪れた。彼にインタビューする機会を得たので、3回にわたって米国から見た朝鮮半島情勢を報告したい。1回目は北朝鮮問題である。

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