三月のベラルーシ大統領選挙では欧米と一線を画し、現職のルカシェンコ大統領の当選を支持したロシアだが、野党の抗議行動の収束を待っていたかのように、天然ガス輸出料金の値上げ圧力を強め始めた。 ウクライナとは異なり、ベラルーシはEU(欧州連合)制裁下にあるルカシェンコ政権が外交機軸をロシアから欧米に移すという懸念はない。このため、三選を果たした破天荒なルカシェンコを制御するためにも「ネジの締め直し」(ロシア外交筋)をすることにした。 プーチン大統領側近でガスプロム社長のミレル氏は、三月三十日の声明でベラルーシへガスを輸出する際には来年から欧州市場価格を適用する方針を表明。これに対しベラルーシ側は、ロシアとは連邦国家を形成しているとして、ロシア国内と同じ格安価格の維持を求めている。 だが、両国の連邦制はロシアのエリツィン前大統領が推進した形式的なもので実体はない。ルカシェンコは酒好きのエリツィンと良好な関係を築いたが、官僚的なプーチンとは全くウマが合わない。ロシアは最後の衛星国を守るためルカシェンコを支持する以外に選択肢はないが、指導部同士の関係は冷えてしまっているのが実情だ。

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