世界有数の天然ガス埋蔵量を誇る中央アジアの人口四百九十万人の小国トルクメニスタンが、中国やイランとの活発な外交を展開している。ニヤゾフ大統領は四月初めに訪中。カスピ海油田に関心を示している中国の胡錦濤国家主席と会談しエネルギー分野で協力を促進することで一致した。 また、イランとはこのほど貿易、関税などに関する合意がまとまった。さらに十一月にはトルクメニスタンの首都アシガバートで、カスピ海の油田開発などに関する関係諸国の協議が行なわれる予定だ。 こうした動きに米国も神経をとがらせているが、ソ連時代の一九八五年に当時のトルクメン共和国の共産党第一書記となった後、権力の座に座り続けているニヤゾフ大統領に対し、同じ旧ソ連のベラルーシとは異なり、対決姿勢では臨んでいない。 三月に発表した「国家安全保障戦略」でも、北朝鮮、イラン、シリア、キューバ、ベラルーシ、ミャンマー、ジンバブエは「圧政国家」と名指ししたが、このなかにトルクメニスタンは入っていない。これは米国が同国の天然ガス資源の開発に加わることをねらっているためとの見方もある。「民主主義の促進」を看板に掲げるブッシュ政権が、「中央アジアの北朝鮮」とまで言われるニヤゾフ政権に対し、どこまで我慢するのか注目される。

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