国際災害援助でCIMICが力を発揮し始めた

執筆者:西村竜郎2006年5月号

昨年のパキスタン大地震では自衛隊と日本のNGOの連携が結実。海外ではすでに進歩している民軍協力の日本での将来性は――。 大災害や紛争地の復興活動で、国際機関などの文民組織と軍隊が協力する「民軍協力(Civil Military Cooperation=CIMIC)」が世界的に盛んになってきている。互いの「得意分野」を持ち寄って、より効果的な被災者支援などを目指すCIMICは、日本でも最近始まっており、効果を見せつつある。ただ、期待の集まる「日本版CIMIC」の今後には、「見えない壁」も立ちはだかっている。 昨年十月、パキスタン北部を襲った大地震。首都イスラマバードから百キロメートルも離れた同国北西辺境のバタグラム地区は、他地域とつながる道路が土砂崩れや陥没で途絶し、孤立した被災者は早くも降り始めた初雪に震えていた。 そのとき空から舞い降りたのが、日の丸をつけた六機のUH1多用途ヘリコプターだった。陸上自衛隊が派遣したパキスタン国際緊急航空援助隊(隊長・堀井克哉一佐)のヘリは、ぶっつけ本番ながらも標高三千メートルの見知らぬ山肌をぬって果敢に飛び、日本から寄せられた毛布やテント、医薬品などを輸送。物資は、日本から現地入りしていた支援組織のスタッフたちに手渡され、被災者の元に届けられた。帰路のヘリには、日本の非政府組織(NGO)である災害人道医療支援会(HuMA)などが治療に当たり「重症」と判断された患者が乗せられ、イスラマバードの大病院まで運ばれた。

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