ウクライナ情勢緊迫に伴う西側の対露制裁で、日露間の北方領土交渉は後退してしまったが、気になる情報がモスクワから伝えられた。ロシア政府が2016-25年のクリール(千島)開発計画を実施することを決めたことだ。計画は10年にわたって北方領土でインフラ建設を進めるとしており、ロシアは少なくとも25年までは北方領土返還を想定していないことになる。

 

日本の新聞は報じず

 タス通信によれば、5月7日の国内開発をめぐる閣議で、プーチン大統領は政府が策定した極東開発計画に外国企業への税制優遇措置や極東住民への融資条件が書かれていないとし、「計画は遅々として進んでいない」と厳しく批判。その中で、「16年からのクリール諸島社会経済発展計画も用意されていない」と叱責した。大統領を恐れるガルシカ極東発展相は「16-25年のクリール発展計画を5月末までに政府で承認する」と釈明した。

 同相は「クリール開発の新計画は航空輸送拡充、貨物・乗客用船舶3隻の建設、埠頭の近代化、道路舗装などを予定しており、投資総額は10年間で920億ルーブル(2760億円、1ルーブル=3円で計算)。うち470億ルーブルは連邦予算から拠出する」などと述べ、計画は昨年から同省で策定しており、月末までにまとめて来年から実行すると大統領に約束した。

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