一方で、イラン包囲網も構築されつつある。 パキスタンのムシャラフ大統領が、イランの核保有が現実のものとなりそうな場合、サウジアラビアが先制攻撃を行なえば、その支援をする約束をしていたことがわかった。四月にパキスタンを訪問し、ムシャラフ大統領と二度の秘密会談を行なったサウジのアブドゥル・ビン・アジズ・アルサウド皇太子がこの約束を取り付けた模様だ。 皇太子はさらに、アフガニスタンと国境を接する北西辺境州、イランと接するバルチスタンの両地方で強い影響力をもつパキスタンの六つの宗教政党の連合体ムタヒド・マジリス・エ・アマル(MMA)の指導者らと会談。アメリカと欧州連合(EU)がイランに先制攻撃を行なう場合、MMAがこれを支持することを確認したという。 イランを攻撃する場合の軍事的連携の詳細を詰めるため、パキスタン政府は七月にも軍高官をサウジアラビアに派遣する予定だという。 スンニ派(ワッハーブ派)のサウジ王室はシーア派のイランが核武装することを非常に恐れており、中東問題専門のシンクタンク「ワシントン近東政策研究所」副所長のパトリック・クローソンは、「イランが核武装すれば、これに対抗して核武装する可能性が最も高いのはサウジアラビアだ」と分析している。

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