中国海軍の王守業副司令官(中将)に、執行猶予付きの死刑判決が下されたという。中国筋が明かしたところによれば、軍総政治部軍事法院は、四月半ば、王中将の「公金横領・収賄額は一億五千万元(約二十一億円)以上に達する」うえ、「生活作風の問題(不適切な男女関係)は極めて深刻である。指導的幹部はおろか党内にとどまることすら許されない」と断罪した。横領・収賄は、王中将が海軍に転任前、全軍の不動産管理を統括する総後勤部基建営房部長・総後勤部副部長を務めていた一九九七―二〇〇一年の間だけで前記の額に及んだという。 経済犯罪として軍始まって以来の金額だが、胡錦濤総書記(党中央軍事委員会主席)が厳罰を下すよう命じたのは、「生活作風」の問題を重視したからのようだ。王中将は、いずれも軍に勤務する四、五人の愛人を囲っていたが、その一人が妊娠・出産して王中将に養育費などを求め、ついには党中央軍事委と海軍総司令部に訴え出て問題が発覚したという。 軍将官として「生活作風」が問題になったのは、総参謀長昇格間近と噂された瀋陽軍区の劉精松司令官(中将=当時)が九二年、やはり軍内に愛人を囲っていたことが夫人の訴えで判明、昇格人事をキャンセルされ蘭州軍区司令官に横滑りした例がある。ただ、昨年暮には瀋国放・前外務次官補が「生活作風の問題」を理由に実質的な降格人事の処分を受けるなど、胡指導部の処分は江沢民時代より一段と厳しくなっている。胡は、愛人問題を端緒に幹部の腐敗問題にメスを入れようとしている。

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