最近の中ロはより緊密化している (C)AFP=時事
最近の中ロはより緊密化している (C)AFP=時事

 新疆ウイグル自治区・ウルムチの朝市で5月22日に起きたテロは、中国指導部にとって余程の衝撃だったのだろう。死者39人 、負傷者も100人近くを数えた犠牲者の規模だけ ではない。習近平国家主席が現地に足を運んだ直後の4月30日にも、駅で死者3人、負傷者79人の事件が起きたばかりだからだ。

 事件は連鎖している。3月1日には雲南省昆明駅で、刃物を持った集団が通行人を無差別に襲撃。警官5人を含め死者34人、負傷者143人の犠牲者を出した。昆明市当局は翌2日に「ウイグル族の犯行」と発表した。治安強化とテロ封じ込めがうたわれるそばから繰り返される惨劇。政府も共産党も面子丸潰れである。

 共産党関連の施設を狙った事件としては、2013年10月28日に、北京の天安門広場に自動車が突入し炎上したことが記憶に新しい。毛沢東の肖像画を前に立ち上る黒煙は、体制の動揺を象徴する光景だった。13年11月6日には山西省の省都、太原市にある共産党委員会の建物前で、連続爆破事件が起きた。

 天安門広場のクルマ突入はウイグル族が絡んだ犯行、山西省の事件は社会に不満を持った落ちこぼれの犯行とされている。それにしても、13年11月9日から始まる中国共産党中央委員会第3回全体会議(3中全会)を控えた時期の 事件だっただけ に、体制側は震撼させられた。当局は陰に陽に締め付けを強めているが、事態は一向に安定に向かっていないどころか、深刻の度を増している。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。