「秋の陣」揺さぶる小泉発言

執筆者:2006年6月号

「七月のサミット(ロシア・サンクトペテルブルク)が終わるまでは、一切、何も言わないことにしている」。九月の自民党総裁選でかなりの影響力を発揮すると見られる森喜朗前首相と参院自民党の青木幹雄議員会長は、総裁選について聞かれると貝のように口を閉ざす。何を語っても発言内容が歪曲されたり独り歩きを始めたりと、思わぬ展開になることがあるからだ。 彼らが恐れるのは、政局の流れが発言内容と違うものになってしまうことだ。見通しがはずれました、で済む話ではなく、政治生命を失うことにつながったりしかねない。だから、この二人は十分打ち合わせの上で発言を控えているのである。早稲田の学生時代、青木氏のアパートで毎日のように会っていた後輩が森氏。二人は小泉体制を支えてはきたが、ここにきて小泉首相と微妙な食い違いも出始めている。 何かをねらっているのかいないのか、気楽に言いたいことを言っているのが小泉首相だ。その首相が外遊先のアフリカのガーナで、政局の先行きに大きな影響を与えるかもしれない重大な発言をした。歴代首相の外遊先での発言は、ときに政局の流れを大きく変えることもある。外遊そのものよりも帰国前夜に訪問先のホテルで行なう「政局懇談」のほうが注目され、報道の扱い方もより派手だったりする。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。