そして「航空整備士」がいなくなったら

執筆者:鶴岡憲一2006年6月号

JALやスカイマークで頻発する、目を覆うほどの整備ミス。それでもよそ任せの整備は増え、さらに二〇〇七年問題が待つ――。 四月十一日、航空安全問題で集中審議を行なった衆議院国土交通委員会では、日本航空とスカイマークエアラインズ社のトップに対し、異例の厳しい追及がなされた。 新町敏行・日航グループCEO(最高経営責任者)兼社長は「速やかに舞台を明け渡すべき」と、経営トップの座を辞するよう求められ、西久保愼一・スカイマーク会長兼社長も「監督官庁である国土交通省から全く信用されていない」と指摘されたのである。実際、両社とも、指弾されても当然と言えるほど、トラブルを続けざまに起こしてきていた。 日航では二〇〇五年に主なケースだけで六十六件(一部は自社責任以外)に上るほど集中発生。事業改善命令や警告を再三受けてもなお、トラブルが続いている。今年三月二十二日に国交省から厳重注意を受けたケースは象徴的だ。MD-87型機の主脚は、〇四年に破損した別の機種と同じ部品が使われているため、監督官庁の国交省が「強度不足がある」として点検間隔を短縮するよう義務付けていたが、点検期限を超えた状態で計四十一便も運航を続けていた(同月二十日に判明)うえ、点検放置が明らかになった日に不十分な方法で緊急点検を“済ませた”機体を二日間にわたり計十二便運航していたことが新たに発覚し、改めて二十三日に国交省から厳重注意を受けたのだ。

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