1989年6月4日の天安門事件から、今年で25年が経過する。25年といえば、ほぼ1つの世代が過ぎ去った形だ。中国において「90後」と呼ばれる1990年以降に生まれた世代は、ある意味で「天安門後」世代であり、教育やメディアで情報が封鎖されたために、天安門事件を何も知らない若者たちだ。彼らはいま続々と大学を卒業して社会に入っている。

 

洗練度を増す「言論管理」の手法

 天安門事件の情報は、中国国内ではますます得にくくなっている。「天安門事件」は外国での呼び方で、中国人の間では「六四」と言えばだいたい通じるはずだったが、90後の若者たちは「六四」といっても分からないことが多いという。

 一般には「天安門事件」どころか「六四」も使われておらず、政府の立場に立つと「動乱」であり、やや客観的に言うならば、「風波(トラブル)」という表現になる。しかし、最近はどの言葉も中国版ツイッター「微博」では自動的に検出されて削除の対象になるので、「5月35日」や「535」という表現が使われるようになった。

 5月は31日まであるので、さらに4日を足すと6月4日になるという暗号のようなものである。ここまで手が込んできたかと感心させられるが、もうこの「535」もブラックリストに指定されて使えなくなっているという話も聞く。

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