中国共産党と台湾の最大野党・国民党が四月中旬、北京で「経済貿易フォーラム」を開いた。国共内戦の敵同士で一九四九年の中台分断を招いた両党は、二〇〇五年春のトップ会談で和解し、フォーラムの定期開催で合意していた。 フォーラムには両党関係者のほか、中台双方の企業経営者ら約六百人が参加した。講演や討論会のあと、共産党が十五項目の対台湾優遇政策を発表し、胡錦濤・共産党総書記(中国国家主席)と連戦・国民党名誉主席の会談で三日間の活動を締めくくった。 台湾の株価指標である加権指数は胡連会談の翌日、前営業日比で〇・六八%上昇し、約二年一カ月ぶりに七〇〇〇の大台に乗せた。中台の経済交流が拡大するとの期待感からだ。しかし共産党の優遇策を吟味すると、経済効果がはっきりしないものが多いことに気がつく。 優遇策の十五項目は三つに大別できる。(1)中国からの台湾観光解禁など中台間の人的往来の促進、(2)台湾産の農水産物の輸入拡大、(3)台湾の医療機関の中国進出の許可――である。(1)はすでに中台双方の当局が必要性を認め、(2)は〇五年の国共会談で取り上げ済みのテーマだ。新味があるのは(3)の医療関係だけだといえる。

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