通信速度、処理速度、メモリー容量の向上で「パソコン化」が進む携帯電話。この流れは、開発コスト高に苦しむメーカーにも福音に。 ピンク色に輝く「ウォークマンケータイ」(ソニー・エリクソン製)が注目を集めた。五月二十二日にホテルニューオータニで開かれたKDDI(au)の夏モデル発表会でのことだ。数年前のパソコンのハードディスクに匹敵する一ギガバイトという大容量フラッシュメモリーを内蔵し、一般的な音楽データを六百三十曲記録できる。再生時間も従来型の八時間から三十時間に延びた。また、携帯電話用の簡易ウェブサイトではなくパソコン用のウェブサイトを閲覧できる機能も持ち、機能はよりパソコンに近づいている。百二十五万画素のデジタルカメラ機能も搭載したこの端末の価格は二万円台。コストパフォーマンスは圧倒的だ。 ソニー・エリクソンでは「性能を見ていただければお分かりになると思いますが、世界最先端。お買い得感は絶対にあるはずです」と力説する。それも当然。数十万台の販売量にとどまれば赤字は確実だからだ。 この携帯電話が二万円で消費者の手に渡るのは、販売奨励金という日本独特の仕組みによるものだ。販売店が携帯電話を売るごとに、携帯電話事業者は店に一定の手数料を支払う。KDDIの前期の販売奨励金は一台当たり三万七千円。仮に仕入れ値が五万円だとしても、二万円で売れば店側は七千円の利益を上げることができる。逆にいえば、多額の販売奨励金が必要なほど、携帯電話の卸価格は上昇しているのだ。

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