「金目発言が出たのは(石原伸晃環境相が)心に思っていたから。大臣は仮設に足を運んで、避難生活が4年目になるわれわれの声を聞くべきだ」(69歳男性、大熊町)、「大臣が1回でもいいから説明会に出席していれば、あんな発言はしなかったのではないか。謝罪は当然で、本当は辞めてもらいたい」(70歳男性、双葉町)。

 石原環境相は6月23日、福島第1原発事故の除染廃棄物などを保管する中間貯蔵施設の建設候補地、福島県大熊町、双葉町の町長と佐藤雄平県知事に相次いで会い、難航する交渉について「最後は金目でしょ」と語った自身の発言を、「深くおわびします」と謝罪した。冒頭で紹介したのは、翌24日の河北新報に載った避難中の住民たちのコメントだ。

 発言は両町を対象にした国の住民説明会の後にあった。「最終的には用地買収価格や交付金など金銭で解決するとの見方を示した。官邸で記者団の取材に答えた。石原氏は直後に環境省内で緊急会見し『住民説明会で金銭の話がたくさん出たが、具体的内容は受け入れが決まるまで説明できないという意味だった』と釈明した」(同17日の河北新報記事より)。

 

頭は下げたが……

 福島第1原発周辺の人々にとって、「金目」発言は深い怒りの感情を呼び起こすものだった。「ふくしま原発25年」という1996年の河北新報連載がある。以下はその一節だ。

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