なぜ小泉首相はあっさりと国会を閉幕させたのか。後釜を狙う安倍官房長官は、いま何を思うのか。二人の心理を追う。 通常国会の会期末を控え、小泉純一郎首相の機嫌の良さが目をひいた。「ベリーハッピー」。六月十日、東京・上野の東京文化会館でオペラ「アンドレア・シェニエ」を鑑賞した時も上機嫌だった。フランス革命時代のパリを舞台に、男女の純愛を描いた悲劇。小泉首相は四十五年前にテレビで見て好きになった最初の作品だったと明かし、「感動を思い出しました」と笑みをこぼした。 その一週間前、福島県猪苗代町の野口英世記念館を訪問し、アフリカの黄熱病対策に生涯を捧げた偉人の生家などを見て回った首相は、「改めて野口博士の偉大さに感銘を受けた」と絶賛。五月上旬に外遊したガーナのクフォー大統領から「『何で日本の野口英世記念館に行っていないのか』と笑われた。これではいけないと思った」との“秘話”も披露するサービスぶりだった。 こうした上機嫌は、首相としての最後の国会を、“予定通り”に六月十八日で閉幕させることに“成功”したがゆえのことだったのだろうか。ただでさえ、一日の延長もなしに国会を閉じるのは珍しい。それが、五年を超えた任期の掉尾を飾る、重要法案が目白押しの国会となれば、なおさらのことだ。

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