「米国輸出入銀行」をめぐる共和党内の亀裂

執筆者:足立正彦2014年7月9日

 エリック・カンター共和党下院院内総務(ヴァージニア州第7区選出)が6月10日に行われた予備選でティーパーティー(茶会党)系候補にまさかの敗北を喫してから早くも1カ月が経過しようとしている。カンター氏の予備選敗北を受けて下院共和党の新指導部が間もなく発足することになっているが、その新指導部が中間選挙を前にして直面している課題の1つが、米国輸出入銀行の業務更新の認可問題である。下院共和党院内総務として経済界寄りの姿勢を鮮明にしていたカンター氏は、米議会による認可が求められる米国輸出入銀行の業務更新を積極的に支持してきた政治家の1人であった。実際、2年前に米議会が米国輸出入銀行の業務更新を認可した際、共和党下院院内総務としてカンター氏は認可支持の立場で重要な役割を果たしている。

 ところが、カンター氏の後任の共和党下院院内総務に8月1日付で就任することになっているケヴィン・マッカーシー下院院内幹事(カリフォルニア州第23区選出)は、今年9月30日に失効する米国輸出入銀行の業務更新問題について、下院本会議で票決にかけることに反対する方針を6月22日に明らかにするとともに、同行が現在行っている業務は民間セクターに肩代わりさせることができるとの見解を示した。実は、2年前に米議会が米国輸出入銀行の業務更新を認可した際、マッカーシー氏は認可支持の賛成投票を行っていた。そのマッカーシー氏が同行の業務更新認可を支持していないのは、茶会党系議員に配慮したからだ。この問題は、中間選挙を控えて大きな政治問題に発展してきている。

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