世界中の大金持ちを魅了する都市がニューヨークだ。美術館、博物館、レストラン、ミュージカル劇場、ショッピング街などの集まるマンハッタンは、米国の豊かさを見せ付けてくれる。世界の富裕層を相手に、今年一月十五日に最高級ホテルとして新装開店したのが、ジュメイラ・エセックスハウスだ。 このホテルは緑豊かなセントラルパークの南端に面し、部屋から公園が一望できる最高のロケーションにある。もともとは一九三一年の建設で、近年、日本航空が一時的に所有していたこともある。セントラルパーク南側を通る歩行者や観光客は、よく観光馬車に目を奪われるが、ジュメイラの真新しい旗はなかなか目に入らないらしい。このホテルのオーナーは、金満のドバイ政府である。 ジュメイラの旗に吸い寄せられるようにホテルロビーに足を踏み入れて見ると、恰幅の良いアラブ系マネージャーがまず目に留まった。左手奥のレストランを覗くと、給仕はすべて中東アラブ系の男性で、女性の姿がない。エレベーターホールの警備員もそうだ。レストランにはアラブ人が好むナツメヤシが用意されていることから、なるほどこのホテルは中東アラブ資本だと納得した。米国であることを忘れさせるほど、白人客の姿は極端に少ない。さしずめアラブ系の観光客やビジネスマンが、米国で快適に宿泊できるホテルとして利用するために買収されたのだろう。

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