[北京発]「北朝鮮から事前通告はなかった。通告を受けたのは、北朝鮮側発表(七月六日)の一時間前だった」。中国の対外政策立案グループの最高責任者、唐家セン国務委員は同八日、訪中していた自民党の逢沢一郎幹事長代理に対し、北朝鮮のミサイル発射に憤りを露にした。 北朝鮮の「テポドン2」発射態勢完了情報が伝わった六月中旬以降、中国は北朝鮮側に自制を繰り返し要求してきた。唐氏によれば、北京駐在の北朝鮮大使を三度も呼び、警告したという。六月二十八日には、温家宝首相自身が、広東省深センでの記者会見で、ミサイル発射に「重大な関心」を示し、朝鮮半島情勢を悪化させる行動を控えるよう警告した。中国の指導者が北朝鮮に対する警告を公然化するのは極めて異例だ。 警告していた、だけではない。中国は同時に、六カ国協議参加国に中国東北部の瀋陽での非公式会合開催を提案した。三年前に北京で始まった六カ国協議は、昨秋からの米国の金融制裁に反発して北朝鮮がボイコット中だが、この非公式会合は、ミサイル危機の回避が主目的。日程も七月十七日からと差し迫っていた。関係筋によると、米国は提案に消極的だった。中国が金融制裁の緩和などを求める意図を感じたからという。

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