北朝鮮が外貨危機の中で、戦車・装甲車などの燃料となるディーゼル油をロシアから相当量輸入している。ロシアの通関統計によれば、北朝鮮は二〇〇三年に三十二万トン、〇四年に四十四万トン、〇五年に三十二万トンを輸入した。 〇二年は桁違いに少ない千八百トン。米国が〇二年十一月に米朝核合意違反として年間五十万トンの重油提供を中止したため、ロシアからの輸入に着手したようだ。米国提供の高品質重油をディーゼル油に精製し、軍事転用していた疑惑が浮かび上がる。 ディーゼル油の購入代金は昨年も一昨年も一億三千八百万ドル(約百五十八億円)程度だが、エネルギー価格高騰により昨年の購入量は減少した。ロシアは北朝鮮が求める“特別価格”を拒否し、市場価格で売却。北朝鮮の外貨事情を逼迫させているという。 それでも購入を続けるのは、戦車が動かないと軍の士気が落ちるため。今回の弾道ミサイル発射と同様、軍に対する金正日の相当な「配慮」が窺える。 昨年のロシアからのガソリン輸入は八千トン、重油は五千トンにとどまった。中国は年間推定五十万トンの石油を“友好価格”で提供している模様。中東からの調達を加えても、北朝鮮の石油・石油製品輸入量は年間百万トンに満たない計算だ。

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