昨日の中国時間午前6時すぎ、中国国営通信新華社は、共産党中央が、元政治局常務委員の周永康を重大な規律違反の疑いで立件することを決めたという第一報を、スマートフォンなどのユーザーに送る69文字のごくごく短い速報として流した。周永康の摘発は、2012年の薄熙来事件発覚以来ずっとささやかれ、その元側近らが次々と摘発されるなど一種の「既定路線」でもあったので、それほどの意外性はないものの、政治的地位は薄熙来よりも高かった周永康の摘発の影響度は限りなく大きい。

 事件の詳報はすでに流れているが、今回の事件ではいくつかの印象深いキーワードが中国のメディアでも盛んに使われている。庶民に分かりやすいキーワードで事件の宣伝性を高める手法は、共産党の建国以来のものである。

 そのなかでやはり重要なのは「打老虎(トラ狩り)」だろう。

 昨晩、人民日報系のウエブサイト「人民網」は「『大老虎(大トラ)』周永康を打ち倒したが、反腐敗はこれで終わりではない」との評論を掲げた。地方の省や部の高級幹部は「トラ」だが、周永康や、最近摘発された党中央軍事委員元副主席の徐才厚のレベルになると「大トラ」ということになる。「老虎」と対照的に使われている言葉は「蒼蠅(はえ)」で、地方レベルで不正を働く役人は「はえ」と評されている。

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