新大統領(左)でも、与党党首であるメガワティ氏(中央)には気を使わねばならない (C)AFP=時事
新大統領(左)でも、与党党首であるメガワティ氏(中央)には気を使わねばならない (C)AFP=時事

 7月22日にジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)の当選が公式に発表されると、翌日のジャカルタ株式市場や外国為替市場はこれに好意的に反応した。諸外国の首脳も、庶民派大統領の誕生を歓迎した。各国メディアも、「改革派」の大統領誕生を賞賛する記事を掲載した。ジョコウィと大統領の座を激しく争ったプラボウォ・スビアントは、国軍将校時代に人権侵害事件に関与した疑いがあり、扇動的な言動が目立ち、行動の予測が付かないと多くの外国人から評価されていただけに、穏健で対話を重視するジョコウィの当選に諸外国はホッと胸をなで下ろした。

 ただし、ジョコウィ新大統領の誕生は、諸手を挙げて歓迎されているわけでもない。外国メディアは、ジョコウィ大統領の誕生を高く評価しつつ、とくに実行力不足の可能性を懸念している。

 

指導力を“発揮させない”制度

 大統領の指導力に対する期待が高まるのは、選挙後における政治の常でもある。2004年にインドネシア史上初めて大統領の直接選挙が実施され、スシロ・バンバン・ユドヨノが当選を果たしたとき、国民は軍人出身の新大統領の指導力に期待した。2009年にユドヨノが得票率60.8%で再選されたときも、高い正統性と支持率を背景に大統領が指導力を発揮してくれると国民は考えた。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。