かつて対日強硬派として鳴らした通商の専門家がとうとうアメリカ全体の通商政策を差配する立場についた。ドーハ・ラウンドや二国間交渉の行方、そして日本に対する“今の姿勢”を聞いた。[ワシントン発]前任者のロブ・ポートマンが行政管理予算局長に転出したのを受け、スーザン・シュワブ(五一)が閣僚ポストである米通商代表部(USTR)代表として承認されたのは、今年六月八日のことだった。 彼女には、長年、共和党下院議員を務めたポートマンほどの議会とのつながりはない。ブッシュ大統領と親しいポートマンと違い、ホワイトハウスに直結するコネクションもない。しかし、シュワブは一九八八年に成立した米包括貿易法の条文を書いた執筆者の一人であり、通商問題専門家として尊敬を集める人物だ。 外交官の娘としてアフリカ、アジア、ヨーロッパの各地で育ったシュワブは、通商政策専門官として駐日米国大使館に勤務したこともある。日米通商摩擦が激しかった八〇年代のほとんどを、対日強硬派として知られた共和党のジョン・ダンフォース上院議員(当時)の通商政策顧問として過ごし、その後、モトローラ社のアジア戦略担当部長、メリーランド大学公共政策学部長なども務めた。

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