エボラ出血熱と米アフリカ・サミット:2014年夏のアフリカ
2014年8月13日
この稼業をしていてもっとも苦痛な、かつ常に最優先を強いられる仕事、すなわち試験と採点にウンウン唸りながら勤しんでいるあいだ、グローバルメディアのヘッドライン周辺をアフリカのニュースがいくつか走った。そのたび、しばらくそちらのほうに目を奪われて赤ペンをもった手が止まり、加えて、従軍慰安婦をめぐる朝日新聞の自爆にも「ウッ」ときたが、採点中は鎖に繋がれたのも同然、首以下は指しか動かせない。
それがようやく解放された。落とすべき学生は皆落としてかなり血だらけになった採点表を電送したばかりである。
まずはエボラ出血熱。死者が千人を超えるところまできてしまった。エボラの感染が大都市に及んだのは初めてだ。一方HIVエイズには終息の可能性がみえてきている。エボラもHIVも元来は感染力の弱い病気である。両者の顕著な違いは潜伏期の長さであり、ほぼ1週間で発病するエボラに比べ、HIVは数年を経てエイズを発症する。この差がエイズを世界中に蔓延させた。感染後すぐに劇症を呈するエボラ出血熱がエイズのように拡散することは考えられないが、ついこのあいだまで紛争に塗れていた西アフリカの国々は、これを確実に隔離封鎖できるのか。シエラレオネのヘルスワーカーの話がどこかに出ていたが「この国の政府は独立以来嘘ばかりついてきたので、国民が政府の言うことを信じようとしない」という。
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