「預金保険機構は毎月、ペイオフ実施の訓練をしている」「日銀がペイオフの実施に備えて、具体的な検討に入った」 最近、銀行関係者の間にペイオフ実施のきな臭い話が飛び交っている。決して、根も葉もない話ではない。金融庁や日銀、預金保険機構といった金融当局が、従来から小規模なペイオフを実験的に行ないノウハウを蓄えたいと考えていることは、本誌二〇〇五年九月号で報じた通りだ。金融当局者の間では、ここにきて実験的ペイオフを実施するタイミングが到来したとの見方が強まっているのだ。その理由は三つある。(1)メガバンクが不良債権処理と公的資金の返済を終え、金融危機が完全に払拭された(2)七月十四日に日銀がゼロ金利を解除し、景気の回復傾向が鮮明になった(3)実験的ペイオフを行なう条件に合った金融機関がある 今年に入り、経営が非常に悪化した九州地方の地銀にペイオフの噂が出たことがある。しかし、この銀行でペイオフを実施すれば他の金融機関に飛び火するなど影響が大きいため、対象にはなりえない。考えられるのは、公的資金の注入や合併などほかの手段だ。 実は、実質的に経営破綻しており、かつ支店を持たないような小規模の信用組合が北海道、関東、九州にある。金融当局は、この複数の信組で実験的なペイオフを行なえないかを検討している。

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