信越化学工業が社外監査役に創業家の故・小坂徳三郎元会長の娘婿を迎えたことで、小坂家の内紛が表面化している。監査役に就任したのは、徳三郎氏の三女の婿養子で、公認会計士の小坂義人氏(五〇)。 小坂家のある関係者によれば、「実は、事実上の創業者といわれる徳三郎氏の子供は女性が三人で、一九九六年に徳三郎氏が亡くなったとき、相続税対策を買って出たのが義人氏でした。公認会計士ということで資産管理を任されました」。 ところが、国税局から申告漏れを指摘され、追徴課税まで受けたことから一族の内紛に発展していたという。そんな折に、信越化学の監査役に就任したため、骨肉の争いが激化した。「義人氏はITの会社を興しましたが、経営に失敗。その借金返済のために徳三郎氏が残した東京・深沢の屋敷を切り売りし、軽井沢の土地も売却。預かった小坂家の資金運用でも失敗。信越化学の株券も大部分が行方不明で、一族の間で裁判沙汰になっている。そのうえ、義人氏が愛人を囲っていた疑いまで出てきている……」(関係者) 信越化学に対しても長女から「監査役就任はコンプライアンス上、ふさわしくない」という意見書が提出される騒ぎだ。 信越化学では「会計の専門家として選任した人です。内紛の話は、小坂家のことですから、どうこう言えません」(広報部)。

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