「将来は韓国に加えて、潜在需要が巨大なインドも市場参入の有力候補となる。だが目下、アジアで最も重要なマーケットは成長の牽引車となる日本と中国だ」。世界最大の家具小売チェーンであるスウェーデンのイケアグループのアンダッシュ・ダルヴィッグ社長兼CEO(最高経営責任者)はこう公言する。 今年四月には千葉県船橋市に店舗面積四万平方メートルの日本一号店を開店したほか、中国・北京に同社として世界二番目に大きい店舗面積十一万平方メートルの中国三号店を開業。九月には横浜市、二〇〇八年春には神戸市に出店し、今後五年から七年の間に首都圏と関西圏にそれぞれ四―六店を開設する計画。中国では二〇一〇年までに十店体制を確立する方針だ。 イケアは年商百四十八億ユーロ(約二兆二千億円)。三十四の国・地域に二百三十店以上を展開するイケアにとって、アジア・豪州地域(中東を除く)の店舗は豪州五、香港五、台湾四、中国三、日本一、マレーシア一、シンガポール一の二十店。売り上げは全体の三%程度に過ぎないが、「今後五年間の新規出店の二割をアジア地域に振り分ける」と鼻息は荒い。 実はイケアの日本進出は二回目だ。一九七四年に初進出したが、消費者のニーズをうまくつかみ切れずに八六年に撤退。再進出に際し、イケアは数百軒にのぼる日本の一般家庭を視察し、マーケティングを練り上げた。日本独特の間取りである「四畳半」をテーマに家具を展示するイベント開催もその一環だ。

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