オバマ大統領は米東部時間で9月10日の夜9時(日本時間では11日朝10時)に、ホワイトハウスから国民に向けて演説を行い、シリアへの空爆を許可する模様だ。

 米国の報道はこの話題で持ちきりである。「戦争になる」というと色めき立つのはメディアの変わらぬ悪弊か。政策通・シンクタンク研究者なども、ここで目立とうとするのか、威勢のいい提言や、批判や擁護、揶揄や嘲笑、その他もろもろの趣向を凝らした記事・論説が、米国の新聞・雑誌とインターネット上に溢れる。とても全部は目を通していられないし、現地の現実にも、米国の政策にもさほど影響は与えないだろう。しかしこういう喧噪の中に1つでも有益な情報がないかと、なるべく見ておくようにしてはいる。

 ニューヨーク・タイムズからウォールストリート・ジャーナルまでのリベラルから保守までの広い範囲のメディアが揃って、「イスラーム国への空爆のシリアへの拡大」「対イスラーム国での敵味方を超えた(≒イランを加えた)連合形成」へとオバマの背中を押しているような雰囲気が気になる。

 行われる演説そのものは、国内政治向けという印象が濃い。「弱腰批判」で足を引っ張られて、内政を含めた政権の舵取りそのものが袋小路に陥ることを避けるための、イメージ操作の一環という側面があるのではないかとも思う。

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