早くもヒートアップ「郵政民営化」利権争奪戦

執筆者:本田真澄2006年10月号

大都市の超一等地を占める郵政保有地は不動産業者の垂涎の的。それ以外の利権も大手企業が分捕り合戦。これでいいのか――。 郵政民営化をめぐる利権争奪戦が激しさを増している。 来年十月の民営化で、現在、日本郵政公社が扱っている事業は、持ち株会社の日本郵政(現在は民営化の企画・準備会社)と四つの事業子会社(郵便窓口を運営する郵便局会社、「ゆうちょ銀行」、簡易保険を引き継ぐ「かんぽ生命保険」、手紙や小包を運ぶ郵便事業会社)に分割される。 そして、今から一年後には、各都道府県の都市部にある中央郵便局舎の再開発が認められ、五年後にはゆうちょ銀とかんぽ生命の株式売却も可能となる。この七月末に民営化後の経営計画が発表されたことを受け、「民営化利権」を見越した不動産・銀行・保険の国内大手企業各社や外資の動きが活発になっている。舌なめずりしながら、舞台裏から「史上最大の国有資産の払い下げ」(関係筋)を凝視し、その「分け前」に与ろうと狂奔しているのだ。 その先兵は、国内の大手企業が日本郵政公社や日本郵政(社長・西川善文前三井住友銀行頭取)に送り込んだ出向者たち、いわゆる「天上がり組」である。「民間企業の競争意識や事業ノウハウを取り込む」(公社幹部)との大義名分の下、各業界のトップ企業から集められた人材は、公社や日本郵政でグループ・リーダー(GL)や、郵政四事業の各担当部長などの肩書きを得て、民営化後の経営計画の策定でも中心的な役割を果たした。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。