北朝鮮が行っている拉致被害者の安否を含めた日本人に関する再調査は「夏の終わりから秋の初め」に最初の報告があるとされたが、これが先送りされた。最初の報告がいつになるのかの目途も立っていない。難航が予想された再調査だが、スタートからつまずいた状態だ。だが、報告を「先送り」するだけで事態は進展するのだろうか。

 菅義偉官房長官は9月19日の記者会見で、再調査について、北朝鮮側から「調査は全体で1年程度を目標としており、現在は初期段階にある。この段階を超える説明はできない」と伝えてきたと述べた。当初は9月第2週にもあるとされてきた最初の報告だが、迷路に入り込んだ形だ。

 一方、北朝鮮の宋日昊(ソン・イルホ)朝日国交正常化交渉担当大使は平壌で9月9日に共同通信と会見し、日本側への最初の結果報告について「現在の状況でも(日本側に伝達できる内容は)十分にある。ただ、日本側から外交ルートを通じ、その通知を求める公式な要請はない」と述べた。

 この2つの発言には大きな食い違いがある。宋日昊大使は「報告できる内容は準備できているが、日本側からその報告を求める通知がない」としている。これに対し、菅官房長官は、「北朝鮮が初期段階を超える説明はないとしている」とし、政府認定の拉致被害者の調査結果が含まれないなら報告を聞く必要はないという姿勢だ。

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