ホワイトハウスの女性料理長、クリスティータ・カマフォードさん(四三)は、八月末、三週間の家族旅行のバカンスからジョージタウンの自宅に戻った。 ホワイトハウスで十年間、副料理長をしてきたカマフォードさんが料理長に抜擢されたのは昨年八月半ば。この一年間、携わった饗宴に迎えた外国首脳は、主たるところで胡錦濤・中国国家主席、小泉首相、ハワード豪州首相、ブレア英首相がある。さらに折々のパーティーや食事会。料理長になって最初の長期休暇は、緊張の日々を忘れる機会になったはずである。 前料理長のウォルター・シャイブ氏はブッシュ大統領が二期目の就任を果たした直後の昨年二月更迭された。そもそもは一九九四年、ホテルの料理長をしていたとき、脂肪分の少ないヘルシー料理志向のヒラリー・クリントン大統領夫人(当時)が、同氏が得意とする米国の地方料理を気に入り、ヘッドハンティングした。 しかしブッシュ大統領夫妻は違った。テキサスと関係の深い夫妻は、バーベキューなど肉類が好物。「夫妻から料理スタイルを変えてほしいと要望され、試しました。しかし満足してもらえなかった」と同氏は語る。 後任の料理長には、何人もの名前が浮かんでは消えた。半年後、カマフォードさんの起用が発表されると、大きな驚きをもって迎えられた。女性というだけでなく、フィリピンからの移民だったからだ。

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