「官から民へ」の規制改革を進めた小泉純一郎首相による地方改革の目玉「指定管理者制度」への移行期間が、この九月末までに完了する。 公園、葬儀所、図書館、美術館、野球場、動物園――地方自治体が設置する公共施設の管理・運営は、これまで、自治体が直営するか、自治体の出資する公益法人に委託されてきた。新制度によって、各自治体は九月末までに、直営か、自治体が選んだ指定管理者に委託するかの選択を迫られており、民間企業やNPO(特定非営利活動法人)などが多数応募していた。 従来の管理・運営資金は主に税金だった。にもかかわらず、真っ当なコスト意識が徹底されていたとはいいがたい。適切な指定管理者への委託で、少しでも無駄な支出が抑えられるのなら大歓迎だ。だが、その実態をつぶさに見れば、天下りや丸投げによる制度の「水漏れ」を懸念せざるをえない。 たとえば、青山葬儀所のケースを見てみよう。東京の一等地にあり、歴代総理や有名芸能人などの葬儀も数多く営まれてきたものの、施設は築三十年以上で、葬儀プランも少なく、昨年度の利用日数は年間の二割台にまで低迷。今年四月、都の外郭団体である財団法人「東京都公園協会」に代わって指定管理者として管理業務を受託したのが日比谷花壇グループである。指定期間は五年間で、維持管理費は利用料でまかなう。

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